日本赤十字社 鳥取赤十字病院

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脳神経外科

外来担当表

診察
- 稲垣 稲垣 稲垣 稲垣 稲垣

 

 

脳神経外科について

脳神経系疾患のうち脳腫瘍、脳血管障害(脳出血、くも膜下出血、頚動脈狭窄症など)、頭部外傷(脳挫傷、急性頭蓋内出血など)、機能的疾患(三叉神経痛、片側顔面けいれん)、水頭症、慢性硬膜下血腫などを主に治療し、良好な成績を収めています。これらの疾患に対して当院では直達手術を専門としており、最新の手術機器やモニタリング装置を駆使して安全かつ非侵襲的に手術を行うように心がけています。症例ごとに最善の治療法を選択し、血管内治療を選択した場合には血管内治療専門医を招聘して当院で治療を行っています。ガンマナイフなどの放射線治療が必要な場合には責任を持って信頼できる施設を紹介しています。直達手術の中でも特に難易度の高い手術の症例数が多く、頭蓋底腫瘍や下垂体腫瘍の摘出術、深部脳動脈瘤のクリッピング術、頚動脈狭窄病変に対する頚動脈内膜剥離術、片側顔面けいれんや三叉神経痛に対する微小神経血管減圧術などを得意としています。

週3日(月水金)を外来診察日としており、火木は定期の予定手術日としています。1人体制のため、救急疾患には対応していませんが、脳ドックを積極的に行っています。

当院では患者様の疾患だけではなく仕事や趣味、家庭生活、経済的状況など総合的に考慮しながらやさしく思いやりのある診療を目指しています。

医師紹介

脳神経外科部長
稲垣 裕敬
いながき ひろたか

外来担当日

月・水・金

専門分野

脳神経外科全般

所属学会

日本脳神経外科学会(脳神経外科専門医) 日本脳神経外科コングレス

主な疾患と治療法

頚動脈狭窄症に対する頚動脈血栓化内膜剥離術

頚動脈狭窄症とは

これは頚部の頚動脈分岐部が粥状動脈硬化性病変(アテロームプラーク)により内腔が狭くなり、脳血流量低下や血栓形成により一過性脳虚血発作や脳梗塞、一過性黒内障などの眼症状をきたす病気です。以前は欧米に多い病気でしたが、近年本邦においても高齢化や食生活の欧米化によってその頻度は急速に増加しています。リスクファクターとして喫煙、高血圧、高脂血症、糖尿病などがあります。

治療法

まずリスクファクターに対する治療と平行して脳梗塞の予防やプラークの安定化を期待して抗血小板剤(血液さらさら薬)やスタチンなどの内服治療が行われます。そのような内科的治療にもかかわらず、プラークが増大したり不安定化したりして脳梗塞の危険が高まったと判断される場合や実際に脳や眼の虚血発作が出現したりする場合には外科的治療が行われます。外科的治療としては最近では頚動脈ステント留置術(CAS)が脚光を浴びていますが、当院では安全性確実性に優れ、最も根治的治療である頚動脈血栓化内膜剥離術(CEA)を第一選択としてほとんどの症例をこの術式で行っています。

CEAの手技と起こりうる合併症

全身麻酔下に頚部を切開して頚動脈を露出し、狭窄の上下で遮断し縦に約5cm切開、バイパスとなるチューブを挿入して脳血流を確保した後、プラークを動脈壁から剥離して一塊として摘出します。動脈を元どおり縫合して血流を再開します。手術時間は約3時間です。合併症として脳梗塞、脳出血、脳神経麻痺、創部皮下血腫などが可能性として考えられます。また術後1〜2年は再狭窄の可能性があります。

まとめ

頚動脈の狭窄病変は放置した場合脳梗塞の原因となりうる恐ろしい病気ですが、これを外科的に治療することもそれなりのリスクを伴います。国際共同研究の報告や本邦の「脳卒中治療ガイドライン」では中等度以上の狭窄例ではCEAを行ったほうが内科的治療より明らかに脳梗塞の予防効果が認められていますが、前提条件として手術および周術期管理に熟達した術者と施設でCEAを行うことが推奨されています。当院では年間15例前後と県内最多の症例数を行い、良好な治療成績を修めています。

 


3D-CT アンギオ(一枚目:術前 二枚目:術後):右頚動脈分岐部に潰瘍形成を伴う高度狭窄を認める。


術中写真1:頚動脈を露出したところ。


術中写真2:プラークを剥離しているところ。
赤い内シャントチューブで脳血流を確保している。


術中写真3:プラーク摘出後の動脈の内腔。


術中写真4:動脈縫合を完了したところ。


摘出したプラーク:内部は粥状の血栓が充満している。

顔面神経痛、顔面けいれんに対する脳外科手術

顔に関係する病気として顔面神経痛や顔面けいれん、顔面神経麻痺などがありますが、このうち前二者は脳神経外科手術で良好な治療成績が得られる疾患です。この二つの疾患の特徴や手術方法、治療成績についてご紹介します。

顔面神経痛は正式には三叉神経痛と呼ばれ、一側顔面の突発的な針で刺すような激烈な痛みであり数秒間持続します。多くはある決まった誘発帯を刺激することにより起こり、そのため患者は食事や会話、ひげ剃り、歯磨きなどが恐怖となり避けるようになります。

顔面けいれんは一側の眼の周囲から口の周りにかけて起こるけいれん発作であり、最初はピクピクする程度であったものが年月を経るにつれて増強するようになりひどい場合は眼がひきつれて開眼が困難になったり、顔半分が歪んでしまいますが痛みや感覚障害はありません。けいれんは緊張やストレス、不安などで誘発されやすく患者は人前には出たがらなくなります。

顔面神経痛も顔面けいれんも脳腫瘍などの部分症状として現れることもありますが、多くは三叉神経、顔面神経が脳幹部から出てすぐのところで小動脈が神経を慢性的に圧迫、刺激して起こります。治療法としては各種薬物療法、神経ブロック、ボツリヌス毒素療法などがありますが、最も根治的な治療として微小神経血管減圧術があります。全身麻酔下に耳介のすぐ後方に500円玉の大きさの開頭を行い、顕微鏡下に脳幹部まで到達し、三叉神経、顔面神経を圧迫、刺激している小動脈をテフロンの綿でくるみ、移動して固定し、神経と接触しないようにします。手術時間は3時間前後、入院期間は約10日、有効率80〜90%、合併症発生率10%以下です。脳外科的にはこの二つの疾患に関しては根治的で最も治療成績の良いこの手術をお勧めしています。お気軽にご相談ください。


顔面けいれん症例の術中写真
一枚目:顔面神経が脳幹部から出てすぐのところで小動脈のループが圧迫している。
二枚目:小動脈を移動すると神経には圧痕が認められる。


顔面神経痛症例の術中写真とMRI
三叉神経が小動脈で圧排され、くの字に屈曲している。


脳を底面から見た図:脳神経と動脈の位置関係を示す。
脳幹部から左右12対の脳神経が出ている。三叉神経は5番目、顔面神経は7番目の脳神経である。

脳動脈瘤

脳動脈瘤とは、脳にある動脈の血管壁の一部が風船のように膨れた状態をいいます。大きさは直径1mm程度から大きいものでは30mmを超えるものもあります。

脳動脈瘤は家系、先天性、または加齢による高血圧や動脈硬化により血管壁が弱まり、絶えず流れ込んでくる血流によってその部分が膨らんでしまう状態です。

脳動脈瘤は風船と同じように膨らめば膨らむほど瘤の表面が薄くなり、破裂する危険性が高まります。しかしながら脳動脈瘤は必ず破裂するわけではありません。単に脳動脈瘤があるだけでは何も自覚症状はなく、破裂せずに生涯をおくる方もいます。脳動脈瘤の破裂率は年間1%程度と決して高いものではありませんが、動脈瘤が破裂すると脳を覆っているくも膜の下の隙間に出血し(くも膜下出血)、40%近くは死に至る死亡率の高い病気を引き起こします。

脳動脈瘤の治療方法としては開頭手術と血管内治療があります。開頭手術は全身麻酔下に開頭を行い、血管の外側から脳動脈瘤の根元を小さな金属のクリップで直接挟み、血液が脳動脈瘤の中に流れ込まないようにして破裂を防ぎます(クリッピング術)。



血管内治療は開頭は行わず、局所麻酔下に足の付け根の大腿動脈からカテーテルという細い管を刺入して脳動脈瘤の中まで進め、極細のプラチナ製コイルを瘤内に詰め、破裂を防ぎます(瘤内コイル塞栓術)。



それぞれの治療法には一長一短あり、脳動脈瘤のできた場所や形状などをもとに医師と患者さんで十分な話し合いを行い、最適な治療方針を選択、決定することになります。

最近では脳ドックというMRI検査が普及しつつあり、1mm程度の小さい脳動脈瘤でも発見することが可能となってきています。脳動脈瘤がご心配な方、あるいは親族にくも膜下出血を起こした人がおられる方は積極的に脳ドックを受けられることをお勧めします。

実績

主な手術件数 2017 2018 2019
脳腫瘍摘出術 3 3 5
脳動脈瘤手術 1 2 0
脳血行再建術(CEAを含む) 8 6 6
微小神経血管減圧術(顔面けいれん) 5 8 4
慢性硬膜下血腫穿頭洗浄術 26 17 16
頭蓋内血腫摘出術(定位含む) 3 2 3
水頭症手術 2 0 0
その他 2 0 1
50 38 35