病理診断科
病理診断科について
病理診断科は病気の診断の確定や治療に深く関わっている部署で、病理組織診断、術中迅速診断、細胞診断、病理解剖等を行っています。最近はさらに分子病理診断も加わりました。これらの病理診断業務は、 医師免許が必要な“医行為”です。当院の病理診断は、常勤病理医1名(日本病理学会認定病理専門医、日本臨床細胞学会認定細胞診専門医、日本臨床検査医学会認定臨床検査専門医)、非常勤病理医4名で主に行っています。
医師紹介
医師
山根 哲実
やまね てつみ
専門分野
病理診断学、臨床細胞学、臨床検査医学
所属学会
日本病理学会(病理専門医・病理専門医研修指導医) 日本臨床細胞学会(細胞診専門医) 日本臨床検査医学会(臨床検査専門医)
主な業務
病理組織診断
【生検】
胃カメラや大腸カメラで病変の一部から組織片を採取し、良性、悪性を顕微鏡で観察し診断します。報告まで2~4日かかります。
【手術】
手術で取り出した臓器から多数の標本を作り、腫瘍の良性か悪性かの判断、悪性ならばどのくらい広がっているのか、転移はあるのかなど肉眼や顕微鏡標本を観察して診断します。報告まで7~14日かかります。近年では、癌細胞が発現している分子を解析することによって、分子標的療法の適応を判定しています。
なお、極めて稀な例や難解例については外部の各臓器の専門家に積極的にコンサルテーションにだして診断を確定しています。
術中迅速診断
癌の手術中に必要が生じた場合に、切除した臓器の断端の部分やリンパ節に癌があるかどうかを調べる検査です。提出された組織を凍らせて特別な機械で薄く切って染色し、顕微鏡で観察・診断し、報告します。この間約15分で、この結果により手術の切除範囲やリンパ節の郭清の程度が決まります。迅速性と正確さが要求される重要な検査です。
細胞診断
尿、喀痰、子宮頚部の擦過細胞等の材料から顕微鏡標本を作り、癌細胞を探して膀胱癌や肺癌、子宮癌等の診断をします。この検査は患者さまに苦痛を与えずに材料が採取される利点があります。また最近では多少痛みを伴いますが、乳腺や甲状腺等の腫瘤に直接細い針を刺して細胞を採取することも多くなっています。腫瘤から直接細胞を採取するため診断の精度が高くなります。当院では病理医1名、日本臨床細胞学会認定細胞検査士4名、国際細胞検査士3名が細胞診断業務を行っています。
病理解剖
病院で病気が原因で亡くなった患者様に対して遺族の承諾を得て行う解剖です。なぜ亡くなったのか、病気がどこまで進んでいたのか、治療の効果はどうだったのか等を調べるために行います。患者様が受けられる最後の正確な診断の機会です。症例によっては、多くの医療スタッフが参加する院内の臨床病理検討会(CPC)で検討され、医療の実践の検証を行い、次の医療向上になくてはならないものです。
分子病理診断
分子病理診断の目的に最適化された条件で適切に固定・パラフィン包理された組織ブロックより薄切された未染組織標本を用い、外注によって遺伝子検査を行っています。遺伝子検査の報告書は、病理診断報告書とリンクする形で電子カルテで閲覧できるように工夫されており、病理診断報告書の一部となっています。
実績
2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|
総部検数 | 2 | 1 | 3 |
組織診件数 | 3,143 | 3,066 | 2,904 |
迅速診断件数 | 101 | 118 | 84 |
細胞診件数 | 4,419 | 4,370 | 4,239 |
CPC開催数 | 2 | 1 | 2 |
病理臨床科合同検討会 | 50 | 40 | 40 |