日本赤十字社 鳥取赤十字病院

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薬剤師

各業務を紹介します

患者さん、医師、その他の医療職が関わる医薬品の安全性確保には、私達薬剤師がついています。

調剤業務をサポートする設備や監査システム、注射ピッキングシステムを整備し、働きやすく安全性を高めている薬剤部。入院調剤や注射薬業務、無菌カクテル、特殊製剤作製、医薬品情報室、病棟業務、外来化学療法室業務等があります。

各室と仕事紹介

薬剤部では、危険を伴う抗癌剤の混注業務を安全に行うための安全キャビネットや、高カロリー輸液を混注するためのクリーンベンチ、注射薬を患者ごとにセットする注射アンプルピッカーといった設備を完備しています。また、業務の合理化やヒューマンエラーを防止するために散薬監査システム、癌治療計画チェックシステムや電子カルテを利用した持参薬オーダーシステム、そして実務実習生専用コーナーと専用パソコン等の体制も整えています。このような各システムは薬剤師だけでなく、医師や看護師の負担軽減に貢献しています。

                  クリーンベンチ

          散薬監査システム

 

             注射アンプルピッカー

 

        実習生向け1人1台のパソコン

 

 

各業務とスタッフインタビュー

薬剤部の6つの業務を紹介します。それぞれの仕事内容についてリーダーとなる薬剤師たちが紹介しています。

薬剤師インタビュー

スタッフインタビュー 01 調剤業務と工夫

スタッフインタビュー 02 注射業務と工夫

スタッフインタビュー 03 医薬品情報管理のやりがい

スタッフインタビュー 04 病院における院内製剤業務の重要性

スタッフインタビュー 05 病棟業務の特徴

スタッフインタビュー 06 外来化学療法室における薬剤師の役割

助手さんインタビュー

薬剤師を支える助手さんの声

薬剤師インタビュー

調剤室の業務は主として入院患者さんの処方箋調剤と持参薬鑑別・代替薬紹介です。

調剤課長

調剤室の業務は主として、入院患者さんと一部の外来患者さんの処方箋調剤と持参薬鑑別・代替薬紹介業務です。当院では電子カルテが導入されているため、医師が入力した処方情報が自動的に調剤室に送信されます。薬剤師は医師が処方したお薬について、用法・用量が適正か、飲み合わせに問題がないかなどを確認(鑑査)します。必要に応じて問い合わせ(疑義照会)を行った後で患者さんに適切な処方がされるように調剤を行っています。
実際の調剤は、最新の調剤支援システムを導入し、業務の効率化、正確性を高めた調剤を行っています。さらに調剤者と異なる薬剤師が最終確認をすることで多重チェックに努めています。
個々の患者さんに合わせてお薬を提供するように、小児や錠剤・カプセル剤が服用しにくい患者さんには剤型の検討を行ったり、アドヒアランス向上のために一包化も行っています。

最近は治療法が進歩したため、従来は入院で行われていた治療が、外来で行われるようになっています。薬物治療も多様化しています。例えば、外来で抗癌剤の注射を行い家で内服薬を併用するなど使い方を誤れば効果が期待できないだけでなく副作用を生じます。休薬が必要な薬に関しては、電子カルテを利用し、適切な投与スケジュールで薬が処方されているかを確認することで、有効かつ安全な薬物治療をサポートしています。
また、インスリン・RA治療薬・片頭痛治療薬等の自己注射や、喘息発作を抑える吸入薬は、器具の正しい使い方を修得することが求められます。このようなお薬が処方された場合には、薬剤師が薬の正しい使い方を指導するだけでなく、治療の目的や生活上の注意点を説明することで患者さんに前向きに治療に取り組んでいただけると考えます。
当院では、調剤のみならず、アドヒアランスの向上・サポート、副作用のチェック・効果の確認ができる薬剤師をモットーに業務を行っています。


より安全で効率的な注射薬の払い出しこそがもっとも大切なこと。
他職種の人たちの協力が欠かせません。

薬剤管理指導係長

医師の注射オーダより発行された患者様ごとの注射薬処方せんについて、投与予定・投与量・投与方法・投与速度・配合変化などの確認を行い、必要に応じて処方した医師へ確認を行った後、処方ごとに取り揃えて病棟に払い出しています。
また厳重なチェックを必要とする化学療法のオーダーに対しては、トーショーの管理システムとエクセルを用いて独自に構築したチェックシステムにより、患者毎の投与量や投与間隔のチェックを二人で行っています。エクセルを用いたチェックシステムはカレンダータイプの画面となっており、血液検査データ(WBC・Hb・Plt値)、実施済み・中止などの記録、患者情報などのコメントを入力することにより、化学療法の実施状況のみならず、より患者様の状況が把握でき他の医療スタッフとの情報共有にも大変役立っています。
2023年2月、ユヤマの新型注射薬自動払出装置が導入となり、より安全で効率的な注射薬の個人セットが可能となりました。


より良い薬剤情報を他職種のみんなへ届け、患者さんへ最良の薬物療法を届けるのが仕事です。

調剤係長

医薬品情報業務(以下、DI業務)といってもどんな仕事をしているのかあまりピンとこない・・・
そんな印象を持っている人が多いのではないかと思います。
現代は情報化社会で、世の中が色々な情報であふれています。医療の現場でもそれは同じです。多くの情報の中からいかに早く有用な情報を収集し、その情報をいかに有効に活用していくかが大事になってきます。
DI業務とは、医薬品に関する様々な情報を収集し、その情報を薬剤師の目線で評価し、整理・加工を行った後、医師、看護師などの病院職員に情報提供し、より良い薬物療法を患者さんへ提供するための仕事のことを言います。医薬品情報を充実させ、有用な情報をみんなで共有することによって医薬品の適正使用が実現すると思います。“縁の下の力持ち”のような役割であまり目立つ仕事ではありませんが、より良い薬物療法を提供するためには必要不可欠なものだと考えています。
迅速な情報提供、相手のことを考えた情報提供をするように心がけ、これからも有用な情報を発信していこうと思います。

医薬品情報業務のkeyword: 情報  収集   評価   活用   共有   提供

  • 情報 どのような情報があるかを知る(論文検索など)
  • 収集 どのようにして収集するか(方法)
  • 評価 どのように評価するか(批判的吟味)
  • 活用 どのように活用するか
  • 共有 その情報をみんなで共有する
  • 提供 どのように提供することで相手の満足が得られるか(プレゼンスキル)

薬剤師としての薬学的知識を発揮するには、これ以上の仕事はありません。

製剤係長

製剤業務とは、以前は各種消毒薬の調製・希釈等も多くありましたが、近年は薬剤師の医薬品知識、技能を応用した特殊製剤の作成が多くを占めています。これらは医師の診断、治療の幅を広げ、病院ならではの業務となっています。業務内容は中学生の理科の実験レベルから薬学部の研究室レベルまでの知識を駆使し、現場の医療に活かせる楽しくやりがいのある業務となっています。

《 特殊製剤の条件 》

  1. 臨床の場では必要な製剤だが市販化されていない場合
  2. 市販品はあるが、必要な剤型・規格・用量がない場合
  3. 安定性の面から用時調整、無菌調整が必要な場合
  4. 製剤処方の改良・新たな製剤の規格の開発が必要な場合
  5. 教育・研究用として必要な場合

医師より特殊製剤の依頼があっても、PL法(製造物責任法)を踏まえ、文献調査から有効性・安全性を検討した上で、倫理委員会の承認の元に調製します。特殊製剤は、残念ながら保険請求できないことが多いうえに副作用等の有害事象が発生した時には「副作用被害救済制度」の適用を受けることはできないので、安全性に対しての慎重な判断と使用するにあたっては、患者さんより同意を取得する必要があります。
さらに使用後の評価を行い、製剤の改良に努めていく必要があります。一見大変な事ばかりの業務のようですが、薬剤師としての能力を発揮するには絶好の業務です。


カルテでは読み取れない情報も、医師、看護師、臨床検査技師、理学療法士、管理栄養士等に確認をとりながら、チーム医療の一員としての役割を果たしています。

病棟業務課長

以前の病棟業務は、入院患者さんへの服薬指導が主でしたが、近年は医師に対する処方支援、看護師に対する薬の安全管理、他の医療従事者に対する薬の影響を共有するサポート等が、患者さんへの服薬指導と同等に重要となっています。服薬指導を行う前にはOTC薬を含む持参薬の確認と入院治療への影響、副作用歴、服薬状況、薬の管理状況、各種検査結果を元に、医師、看護師等と安全な薬物治療を確保し、退院後の家庭での薬の管理へと指導をつなげています。新人薬剤師も、薬剤部内での基本的な知識と技能を習得した後は、段階的にベッドサイドへと業務が広がっていきます。他の医療者と同様、薬剤師も常に勉強が必要ですが、日々学んだ知識が活用できる喜びを実感できると思います。


モットーは、患者さんが何でも気軽に相談でき、安心して治療を受けていただけることです。

外来化学療法室担当

当院では、外来化学療法室で治療を受けられる患者さん全てに薬剤師が面談を行う事を基本としています。多くはがん患者さんであり、自身の病気や治療によって起こる副作用に対する不安を表される場合もありますが、何でも気軽に相談でき、安心して治療を受けていただけるよう心がけています。
初めて化学療法を開始される場合には、主治医の説明の後に、薬剤師が組織検査の結果や画像診断・血液検査の結果等を踏まえて薬物治療の目的(必要性)の説明を看護師と共に行い、さらに毎回化学療法の際には、他院・他科での処方薬と当院処方薬との相互作用や重複投与等の確認を行っています。
化学療法中に起こりうるインフュージョンリアクションを予防する方法や起こった際に一早く対応できるよう対処方法を検討し、他のスタッフと共に訓練に参加しています。
その他の副作用や症状に対しても、患者さん個々に合った対処方法を他のスタッフと一緒に考えて提案しています。
今後の活動としては、薬剤師外来を開設し、診察前に患者さんの状態を確認し、医師への処方提案が出来れば・・と考えています。

助手さんインタビュー

鳥取赤十字病院では、いつでも薬剤師の仕事を支えてくれる助手さんがついています。

薬剤師の仕事を4名の薬剤師助手がサポートしています。職場の雰囲気や仕事の内容について助手さんたちにインタビューに答えてもらいました。

Q1:薬剤師を支える仕事は大変ではないですか?

 

入職当初は失敗するたびに消極的になっていましたが、いつでも優しく指導してくださる薬剤師の先生方のもと、少しずつですが成長させていただいているところです。
とても明るく楽しい職場で、やりがいのある仕事をさせていただき感謝しています。


Q2:どんな仕事をされていますか?

薬剤師助手は調剤補助を中心に、薬剤師が監査しやすいように心を配りながらサポート業務をしています。調剤室だけでなく注射室でも同様に様々なサポート業務をしています。また、患者さんが入院される際に使用されていた持参薬の検薬についてのサポート業務も行います。
その他の業務として、処方箋の整理・集計、薬品の蔵出しなどもしています。