平成28年度 鳥取赤十字病院 病院指標
- 年齢階級別退院患者数
- 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
- 成人市中肺炎の重症度別患者数等
- 脳梗塞のICD10別患者数等
- 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
※各診療科の実績値とは集計方法が異なる為、件数が一致しない場合があります。
▼ 年齢階級別退院患者数
▲ 年齢階級別退院患者数
年齢区分 | 0~ | 10~ | 20~ | 30~ | 40~ |
---|---|---|---|---|---|
患者数 | 561 | 163 | 192 | 294 | 395 |
年齢区分 | 50~ | 60~ | 70~ | 80~ | 90~ |
---|---|---|---|---|---|
患者数 | 647 | 1391 | 1448 | 1604 | 507 |
平成28年度1年間に退院した患者数を年齢階級別に10歳刻みで集計しています。年齢は入院時の年齢です。合計7,202人の患者さんが退院されました。
中でも60代以上の患者さんは全体のおよそ7割を占めており、地域社会の高齢化が反映されています。若年層では、骨折などの整形外科手術が必要となる患者さんが多くなっています。また、小児科があり小児救急にも積極的に取り組んでいるので、10歳までの患者さんも多く診療しています。
▼ 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
▲ 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
060340xx03x00x | 胆管結石、胆管炎などの内視鏡治療 | 108 | 7.68 | 11.06 | 4.63 | 77.60 |
110310xx99xx0x | 腎臓または尿路の感染症の治療 | 44 | 12.52 | 12.43 | 9.09 | 76.39 |
0400801499×001 | 75歳以上の肺炎治療 | 43 | 16.26 | 13.60 | 9.30 | 83.60 |
060050xx97x0xx | 肝・肝内胆管の悪性腫瘍の内視鏡治療 | 42 | 13.43 | 11.74 | 2.38 | 78.95 |
060020xx04x0xx | 胃の悪性腫瘍の内視鏡治療 | 38 | 9.16 | 9.02 | 0.00 | 74.08 |
肺炎の治療は主に抗生物質点滴投与により行われています。高齢者が多く、在院日数が全国より長くなっています。
2型糖尿病の治療は糖尿病療養指導士である看護師や管理栄養士とともに患者さんのライフスタイルに合わせた生活習慣の見直しや血糖コントロールの改善を目標とした教育入院を行います。
胆管結石、胆管の手術治療は患者さんの侵襲の少ない手術として内視鏡的治療が行われています。
循環器科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
050050xx99100x | 狭心症、慢性虚血性心疾患の心臓カテーテル治療 | 79 | 3.08 | 3.06 | 0.00 | 70.03 |
050130xx99000x | 心不全の治療 | 61 | 30.72 | 17.95 | 8.20 | 83.67 |
050050xx02000x | 狭心症、慢性虚血性心疾患などの経皮的冠動脈形成術(心臓カテーテル治療) | 28 | 8.11 | 4.71 | 0.00 | 75.14 |
050070xx99000x | 頻脈性不整脈の治療 | 22 | 9.27 | 7.82 | 4.55 | 80.50 |
050030xx97000x | 急性心筋梗塞、再発性心筋梗塞の経皮的冠動脈形成術などによる治療 | 14 | 17.93 | 13.02 | 7.14 | 68.21 |
循環器科で最も多い症例は狭心症、慢性虚血性心疾患の治療です。心臓カテーテル治療は急性心筋梗塞にも施行しています。
症例数が2番目に多いのは心不全の治療です。平均年齢が80歳を超え、心不全以外の要因により平均在院日数が長くなっています。在宅復帰まで治療継続、リハビリのための転院を要する症例が多く、転院が決まるまでに日数がかかることが大きな要因です。
神経内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
010060×2990301 | 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)のSPECT検査 | 44 | 21.41 | 18.98 | 52.27 | 76.91 |
010061xxxxx0xx | 一過性脳虚血発作の治療 | 22 | 7.23 | 6.38 | 0.00 | 78.36 |
010060×2990001 | 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) の治療 | 19 | 6.47 | 6.99 | 5.26 | 69.37 |
010230xx99x00x | てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし | 16 | 4.63 | 7.12 | 6.25 | 68.56 |
010060×2990401 | 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) のエダラボンによる治療 | 14 | 24.36 | 16.54 | 28.24 | 71.50 |
神経内科の入院患者数で最も多い疾患は脳梗塞です。いくつかの治療法や治療薬がありますが、それぞれにタイムウィンドウ(いわば制限時間)が決まっています。より良い治療のために、より早期の受診をおすすめします。
小児科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
040070xxxxx0xx | インフルエンザ、ウイルス性肺炎の治療 | 104 | 4.84 | 6.09 | 0.00 | 1.43 |
040090xxxxxx0x | 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他)の治療 | 85 | 4.78 | 6.02 | 0.00 | 3.56 |
150010xxxxx0xx | ウイルス性腸炎の治療 | 72 | 2.94 | 5.50 | 0.00 | 3.79 |
030240xx99xxxx | 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎の治療 | 61 | 4.07 | 5.50 | 0.00 | 2.74 |
0400801199x00x | 肺炎(1歳以上15歳未満)の治療 | 42 | 4.60 | 5.79 | 0.00 | 4.57 |
小児科疾患の多くは、感染症とアレルギー疾患です。特に発熱や咳を伴う呼吸器疾患が多く、気管支炎や肺炎を発症すると全身状態が悪化し、年少児では入院に至る場合があります。発熱・嘔吐・下痢で始まるロタウィルス・ノロウィルスなどのウィルス性胃腸炎では、容易に脱水症状に陥り、入院となります。近年、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などのアレルギー疾患が増えました。吸入薬などの登場で入院を要する気管支喘息患者は減少傾向にありますが、気管支炎・肺炎などに合併した時は、容易に呼吸困難に陥り、全身状態も悪化し入院に至ります。
外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
040040xx9909xx | 肺の悪性腫瘍の化学療法(アバスチン) | 118 | 3.48 | 10.76 | 0.00 | 65.21 |
060035xx99x60x | 結腸の悪性腫瘍の化学療法(アバスチン) | 77 | 3.17 | 4.48 | 0.00 | 73.91 |
060330xx02xxxx | 胆嚢結石の腹腔鏡手術 | 41 | 6.29 | 6.82 | 0.00 | 60.90 |
060335xx02000x | 胆嚢炎等の腹腔鏡手術 | 39 | 6.69 | 7.61 | 2.56 | 63.44 |
060035xx99x70x | 結腸の悪性腫瘍の化学療法(アービタックス) | 32 | 2.59 | 4.84 | 0.00 | 61.44 |
大腸がん(結腸・直腸がん)の患者数は増加傾向にあるため、手術後の再発予防や転移、再発時に行う化学療法の件数が多くなっています。抗がん剤の開発によって転移や再発を起こした大腸がん患者の生存期間は伸びてきており、長期間の化学療法を受ける方が多くなっています。肺の悪性腫瘍の化学療法の多くは、大腸がんの肺転移の治療の方です。
整形外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
160800xx01xxxx | 股関節大腿近位骨折の人工骨頭挿入術 | 117 | 31.06 | 27.63 | 66.67 | 83.26 |
160690xx99xx0x | 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。)の治療 | 71 | 21.03 | 20.57 | 33.80 | 80.15 |
070370xx99xxxx | 脊椎骨粗鬆症の治療 | 54 | 25.87 | 23.61 | 61.11 | 83.26 |
07040xxx01xxxx | 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。)の人工関節再置換術等 | 48 | 31.25 | 24.42 | 2.08 | 67.92 |
160980xx99x0xx | 骨盤損傷の治療 | 24 | 20.21 | 20.45 | 45.83 | 79.79 |
鳥取県の人口構成の特徴は、全国的にも高齢化率の高い地域となっています。整形外科においても入院症例数が最も多いのは高齢者の転倒による大腿骨近位部骨折です。ついで胸腰椎の圧迫骨折、恥坐骨骨折や仙骨骨折などの骨盤骨折で骨粗鬆症に起因した骨折が大半をしめ、年齢も80歳以上の患者さまが多くなっています。とくに大腿骨近位部骨折の手術件数は骨接合術と人工骨頭挿入術を合わせて年間約150件あり、県内でも有数の病院となっています。早期離床をはかるためできるだけ早くリハビリを行っていますが、高齢者が骨折を受傷すると短期間で自立した歩行能力を獲得することは並大抵のことではありません。当院では医療ソーシャルワーカーを通して近隣の回復期リハビリテーション病院とも連携をはかり、なるべく在宅復帰できるようご提案させていただいています。
脳神経外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
160100xx97x00x | 頭蓋・頭蓋内損傷の慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等 | 32 | 10.63 | 9.87 | 6.25 | 81.75 |
010040x099x00x | 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満)の治療 | 24 | 28.29 | 19.35 | 62.50 | 75.04 |
160100xx99x00x | 頭蓋・頭蓋内損傷の治療 | 17 | 9.35 | 7.52 | 5.88 | 67.76 |
010040x101x1xx | 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10以上)の頭蓋内血腫除去術等 | – | – | 40.41 | – | – |
010060×2990401 | 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)の治療 | – | – | 16.54 | – | – |
当院では比較的高齢者の方が多く、それを反映して高齢者において発症率の高い慢性硬膜下血腫の手術治療が多くなっています。次に非外傷性頭蓋内血腫の治療、頭蓋内損傷の治療が続きます。
心臓血管外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
050210xx97000x | 徐脈性不整脈のペースメーカー交換術 | 15 | 8.67 | 11.38 | 0.00 | 88.20 |
050170xx03000x | 閉塞性動脈疾患の動脈塞栓除去術 | – | – | – | – | – |
050170xx02000x | 閉塞性動脈疾患の動脈形成術、吻合術 | – | – | – | – | – |
050170xx03001x | 閉塞性動脈疾患の動脈塞栓除去術 | – | – | – | – | – |
050130xx97000x | 心不全の治療 | – | – | – | – | – |
心臓血管外科では血管内焼灼術を中心に、多くの症例を外来で治療しており、入院症例として計上する症例は少なくなっています。ペースメーカー交換術は、基本的には脈拍が遅い患者さんの治療のため心臓にペースメーカーを植え込んでいるものです。
泌尿器科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
110070xx02020x | 膀胱腫瘍の経尿道的膀胱悪性腫瘍手術(化学療法を伴うもの) | 61 | 8.43 | 7.85 | 0.00 | 73.87 |
110200xx04xxxx | 前立腺肥大症の経尿道的レーザー前立腺切除術 | 29 | 9.90 | 7.78 | 0.00 | 75.28 |
11001xxx01x0xx | 腎腫瘍 腎(尿管)腹腔鏡下悪性腫瘍手術 | 14 | 15.86 | 12.52 | 0.00 | 62.79 |
110060xx99x20x | 腎盂・尿管の悪性腫瘍の治療(化学療法を伴うもの) | 13 | 9.46 | 11.71 | 7.69 | 74.08 |
110420xx97xx0x | 尿管の屈曲及び狭窄の経尿道的尿管ステント留置術 | 13 | 6.15 | 5.33 | 0.00 | 73.46 |
泌尿器科で最も多い症例は膀胱腫瘍に対して経尿道的に行う膀胱悪性腫瘍手術(TUR-Bt)と化学療法を併用した症例で、平均在院日数は約8日でした。患者さんの術後の痛みの軽減、早期回復を図りたいことから、開腹しない腹腔鏡を使った手術を積極的に行っている当科では、腹腔鏡手術の症例ばかりが上位を占めています。再発や転移、またはその予防を目的として行う化学療法も多く行っています。
産婦人科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
120180xx01xxxx | 胎児及び胎児付属物の異常の帝王切開術 | 20 | 9.50 | 9.88 | 0.00 | 33.20 |
120100xx01xx0x | 子宮内膜症の腫瘍摘出術等 | 18 | 6.39 | 7.92 | 0.00 | 40.50 |
120060xx01xxxx | 子宮の良性腫瘍の子宮全摘術等 | 13 | 9.85 | 10.05 | 0.00 | 44.23 |
120230xx02xxxx | 子宮の非炎症性障害の子宮内膜掻爬術 | 12 | 1.17 | 2.50 | 0.00 | 46.75 |
120220xx01xxxx | 女性性器のポリープの子宮内膜ポリープ切除術 | 11 | 1.36 | 3.08 | 0.00 | 56.09 |
子宮筋腫は中年以降の女性によくみられる良性の子宮腫瘍です。当科では、自覚症状とMRIなどの画像診断を総合的に判断して、患者さんにとって最も適した治療法を選択するように心がけています。腹腔鏡補助下の手術や子宮動脈塞栓術による治療も症例によっては可能です。
耳鼻咽喉科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
030400xx99xxxx | 前庭機能障害の治療 | 100 | 5.26 | 5.24 | 1.00 | 62.22 |
030240xx99xxxx | 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎の治療 | 82 | 5.44 | 5.50 | 0.00 | 44.12 |
030428xxxxxxxx | 突発性難聴の治療 | 57 | 8.74 | 9.37 | 0.00 | 58.25 |
030230xxxxxxxx | 扁桃、アデノイドの慢性疾患の治療 | 55 | 8.04 | 8.12 | 1.82 | 26.33 |
030350xxxxxxxx | 慢性副鼻腔炎の治療 | 54 | 7.63 | 7.47 | 0.00 | 52.06 |
めまい、急性扁桃炎、扁桃周囲膿瘍などの救急患者の入院が多く見られます。慢性副鼻腔炎は手術のための入院です。
▼ 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
▲ 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
初発 | 再発 | 病期 分類基準 (※) |
版数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Stage I | Stage II | Stage III | Stage IV | 不明 | ||||
胃癌 | 51 | 16 | 10 | 52 | 66 | 14 | 1 | 7 |
大腸癌 | 23 | 46 | 97 | 64 | 60 | 82 | 1 | 6,7 |
乳癌 | 35 | 31 | 16 | – | 12 | 11 | 1 | 7 |
肺癌 | – | – | – | 0 | – | – | 1 | 7 |
肝癌 | – | 13 | – | 0 | 32 | 49 | 1 | 7 |
※1:UICC TNM分類、2:癌取扱い規約
当院は消化器センターを設置しており、消化器系のがんが多いのが特徴です。早期胃癌では内視鏡的ながんの切除、腹腔鏡下胃切除、腹腔鏡、内視鏡合同手術にも取り組んでいます。大腸癌も多くの症例で腹腔鏡手術を行っています。乳がんは近年増加してきており、専門医師、認定看護師、薬剤師など他職種がチームを組んで患者さんの診療にあたっています。
▼ 成人市中肺炎の重症度別患者数等
▲ 成人市中肺炎の重症度別患者数等
患者数 | 平均 在院日数 |
平均年齢 | |
---|---|---|---|
軽症 | 26 | 8.38 | 54.12 |
中等症 | 104 | 18.40 | 81.95 |
重症 | 32 | 16.09 | 86.47 |
超重症 | – | – | – |
不明 | 0 | 0.00 | 0.00 |
市中肺炎とは、普段の社会生活の中でかかる肺炎のことであり、成人市中肺炎診療ガイドライン(日本呼吸器学会)による重症度分類を用いて集計しています。患者数は中等症が最も多く、重症度が上がるにつれて在院日数も長くなっています。患者さんは高齢者が多く、重要になるほど平均年齢は上がる傾向にあります。
▼ 脳梗塞のICD10別患者数等
▲ 脳梗塞のICD10別患者数等
ICD10 | 傷病名 | 発症日から | 患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | 転院率 |
---|---|---|---|---|---|---|
G45$ | 一過性脳虚血発作及び関連症候群 | 3日以内 | 29 | 7.03 | 78.03 | 0.00 |
その他 | – | – | – | – | ||
G46$ | 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 | – | 0 | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
I63$ | 脳梗塞 | 3日以内 | 220 | 23.73 | 76.85 | 39.22 |
その他 | 35 | 18.86 | 73.63 | 4.31 | ||
I65$ | 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの | – | – | – | – | – |
I66$ | 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの | – | – | – | – | – |
I675 | もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> | – | 0 | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
I679 | 脳血管疾患,詳細不明 | – | 0 | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
虚血性脳卒中の入院数は合わせて280名以上にのぼり、約90%の方が発症後3日以内の入院です。一過性脳虚血発作であれば一週間程度で退院されますが、脳梗塞では4割強がリハビリ病院へ転院されるため、平均すると24日弱の入院期間となっています。
▼ 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
▲ 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K688 | 内視鏡的胆道ステント留置術 | 69 | 1.86 | 9.94 | 8.70 | 79.23 |
K6871 | 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみのもの) | 57 | 1.47 | 7.68 | 3.51 | 77.63 |
K6532 | 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層) | 39 | 0.33 | 8.28 | 2.56 | 74.41 |
K654 | 内視鏡的消化管止血術 | 36 | 0.92 | 9.25 | 5.56 | 70.31 |
K708-3 | 内視鏡的膵管ステント留置術 | 34 | 0.82 | 9.15 | 2.94 | 78.41 |
内視鏡的乳頭拡張術は総胆管結石の除去に際し行われる治療です。
胃瘻造設術は主に脳梗塞後などの脳疾患により嚥下機能が低下し、誤嚥性肺炎を繰り返す患者さんに行われ、当院ではほとんどが経皮的内視鏡下胃瘻造設術となっています。
血管塞栓術の中では肝細胞がんに対する肝動脈塞栓術が大半を占めています。
循環器科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K5493 | 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) | 26 | 7.81 | 5.46 | 7.69 | 76.12 |
K5463 | 経皮的冠動脈形成術(その他) | 10 | 4.90 | 5.90 | 0.00 | 76.50 |
K5491 | 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞) | 10 | 0.00 | 17.90 | 0.00 | 69.00 |
K5492 | 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) | – | – | – | – | – |
K5972 | ペースメーカー移植術(経静脈電極) | – | – | – | – | – |
循環器科では虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)に対する経皮的冠動脈形成術と経皮的冠動脈ステント留置術といった心臓カテーテル治療の症例数が多くなっています。心臓カテーテル治療は腕や足の血管から心臓まで管を通して狭窄した冠動脈を拡張する治療法です。経皮的冠動脈血栓吸引術は急性心筋梗塞に対する心臓カテーテル治療の際に冠動脈閉塞の原因となっている血栓を血栓吸引カテーテルで除去する治療です。
外科
<悪性腫瘍手術以外>
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K672-2 | 腹腔鏡下胆嚢摘出術 | 84 | 0.98 | 5.44 | 2.38 | 62.55 |
K634 | 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) | 59 | 0.92 | 2.73 | 0.00 | 63.14 |
K6335 | 鼠径ヘルニア手術 | 50 | 0.66 | 2.82 | 2.00 | 71.02 |
K6113 | 抗悪性腫瘍剤動脈,静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他に設置した場合) | 35 | 4.49 | 9.60 | 2.86 | 66.69 |
K4762 | 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) | 30 | 1.00 | 3.77 | 0.00 | 60.70 |
癌の手術以外では鼠径ヘルニアの手術症例が最も多くなっています。鼠径ヘルニアに対して腹腔鏡下手術を積極的に導入しており、傷の痛みを軽減し、早期の退院が可能となっています。また、胆石症や急性胆のう炎に対する腹腔鏡下胆のう摘出術の症例も多いです。
<悪性腫瘍手術>
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K4762 | 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) | 30 | 1.00 | 3.77 | 0.00 | 60.70 |
K719-3 | 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 | 23 | 4.70 | 12.35 | 4.35 | 72.57 |
K7193 | 結腸切除術(全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術) | 20 | 6.45 | 23.45 | 25.00 | 74.65 |
K655-22 | 腹腔鏡下胃切除術(悪性腫瘍手術) | 17 | 1.24 | 11.71 | 0.00 | 66.94 |
K6552 | 胃切除術(悪性腫瘍手術) | 15 | 2.53 | 27.87 | 20.00 | 76.73 |
癌の手術では、乳がんに対する乳房温存手術(含センチネルリンパ節摘出)の手術が最も多くなっています。また、罹患率の高い結腸癌、胃癌の手術症例が多く、過半数の症例で腹腔鏡下手術を行っています。腹腔鏡手術後の入院期間は回復術と比較し、非常に短くなっています。
整形外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K0461 | 骨折観血的手術(肩甲骨,上腕,大腿) | 107 | 5.36 | 24.56 | 55.14 | 80.83 |
K0821 | 人工関節置換術(肩,股,膝) | 80 | 1.64 | 27.80 | 10.00 | 70.33 |
K0462 | 骨折観血的手術(前腕,下腿,手舟状骨) | 48 | 3.42 | 21.13 | 14.58 | 62.94 |
K0811 | 人工骨頭挿入術(肩,股) | 38 | 7.50 | 22.92 | 86.84 | 82.82 |
K0463 | 骨折観血的手術(鎖骨,膝蓋骨,手(舟状骨を除く),足,指(手,足)その他) | 24 | 3.67 | 14.83 | 20.83 | 55.46 |
整形外科の手術では平均年齢から高齢者の骨折が多いことが分かります。加齢に伴い骨粗鬆症が原因で起こる大腿骨の骨折に対して、プレート固定を行ったり、人工骨頭挿入を多く行っています。手術後は自宅退院を目標にリハビリテーションを行い、医療ソーシャルワーカーを通して近隣の回復期リハビリテーション病院とも連携をはかり、なるべく在宅復帰できるようご提案させていただいています。
脳神経外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K164-2 | 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 | 22 | 0.32 | 9.86 | 9.09 | 85.50 |
K6092 | 動脈血栓内膜摘出術(内頸動脈) | 16 | 2.69 | 12.69 | 12.50 | 71.81 |
K1643 | 頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内) | – | – | – | – | – |
K1692 | 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) | – | – | – | – | – |
K160-2 | 頭蓋内微小血管減圧術 | – | – | – | – | – |
脳神経外科では、慢性硬膜下血腫に対する穿孔洗浄術が最も多い手術となっています。慢性硬膜下血腫は高齢者の頭部外傷後に発症することが多い疾患ですが、手術で治療するため、早期に退院可能となっています。
次いで多いのが動脈血栓内膜摘出術です。コレステロールなどの塊が首に堆積してできたプラークを取り除き、脳梗塞を予防します。治療は薬物による保存的治療が基本ですが、血管の狭窄が進行した症例では、手術を行ったほうがより良い予防効果が望める場合もあります。
心臓血管外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K597-2 | ペースメーカー交換術 | 15 | 0.33 | 7.33 | 0.00 | 88.20 |
K616 | 名称 四肢の血管拡張術・血栓除去術 | – | – | – | – | – |
K6147 | 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) | – | – | – | – | – |
K0821 | 人工関節置換術(肩,股,膝) | – | – | – | – | – |
K0842 | 四肢切断術(上腕,前腕,手,大腿,下腿,足) | – | – | – | – | – |
心臓血管外科では血管内焼灼術を中心に、多くの症例を外来で治療しており、入院症例として計上する症例は少なくなっています。ペースメーカー交換術は、基本的には脈拍が遅い患者さんの治療のため心臓にペースメーカーを植え込んでいるものです。
泌尿器科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K8036イ | 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用のもの) | 58 | 1.09 | 5.74 | 0.00 | 74.16 |
K841-21 | 経尿道的レーザー前立腺切除術(ホルミウムレーザー) | 29 | 2.45 | 7.62 | 0.00 | 75.93 |
K783-2 | 経尿道的尿管ステント留置術 | 26 | 0.54 | 6.85 | 11.54 | 71.73 |
K773-2 | 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 | 24 | 1.50 | 14.13 | 8.33 | 65.88 |
K834-2 | 腹腔鏡下内精巣静脈結紮術 | 12 | 1.00 | 1.33 | 0.00 | 31.83 |
最も多いのは膀胱に対して行う悪性腫瘍手術です。尿道から内視鏡を挿入して腫瘍を切除します。開腹に比べて腫瘍切除手術に比べて患者さんの体に負担の少ない治療法です。さらに使用する潅流液が電解質溶液(電気伝導性を有する溶液)の生理食塩水なので、合併症のリスクは大幅に減少します。
産婦人科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K877 | 子宮全摘術 | 22 | 1.27 | 7.36 | 0.00 | 48.27 |
K8882 | 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) | 20 | 0.95 | 3.35 | 0.00 | 40.60 |
K8981 | 帝王切開術(緊急帝王切開) | 15 | 4.40 | 7.67 | 0.00 | 32.00 |
K8982 | 帝王切開術(選択帝王切開) | 15 | 5.20 | 7.13 | 0.00 | 34.20 |
K861 | 子宮内膜掻爬術 | 13 | 0.00 | 0.15 | 0.00 | 46.31 |
子宮全摘術の場合、手術前日に入院し、術後は7日目に抜歯、8日目に退院で合計10日間の入院を標準としています。平均年齢は52歳で、原則として閉経前症例で異常がなければ、付属器は温存するようにしています。
眼科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K2821ロ | 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) | 178 | 0.07 | 1.99 | 0.00 | 73.52 |
K249 | 角膜潰瘍掻爬術,角膜潰瘍焼灼術 | – | – | – | – | – |
K224 | 翼状片手術(弁の移植を要する) | – | – | – | – | – |
K2683 | 緑内障手術(濾過手術) | – | – | – | – | – |
K2193 | 眼瞼下垂症手術(その他) | – | – | – | – | – |
眼科は高齢化社会を反映して、白内障が最も多くなっています。白内障手術は日帰りが主流となっていますが、当院は2泊3日の入院で治療しています。心不全や人工透析などの全身疾患を有する方、精神疾患や認知症で全身麻酔が必要な方、また患者様が入院を希望された場合、地域の先生方からご紹介を頂いて施行しています。
また近年増加傾向にある加齢黄斑変性に対しては、主に日帰りで抗VEGF(血管新生抑制薬)の硝子体注射を施行していますが、患者様の希望で入院していただくこともあります。
緑内障に関しては可能な限り点眼薬での保存治療の方針ですが、必要に応じて手術を施行しています。
耳鼻咽喉科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K3772 | 口蓋扁桃手術(摘出) | 61 | 0.98 | 6.11 | 1.64 | 27.02 |
K340-5 | 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) | 50 | 0.98 | 5.78 | 0.00 | 52.56 |
K3932 | 喉頭腫瘍摘出術(直達鏡) | 23 | 1.09 | 1.74 | 0.00 | 65.22 |
K4571 | 耳下腺腫瘍摘出術(耳下腺浅葉摘出術) | 19 | 1.00 | 6.84 | 0.00 | 56.21 |
K333 | 鼻骨骨折整復固定術 | 18 | 0.67 | 2.94 | 0.00 | 23.83 |
従来は小児に対する口蓋扁桃摘出術が圧倒的に多く行われていましたが、手術適応が厳密になり、減少傾向です。内視鏡下鼻・副鼻腔手術は、患者さんの身体への負担が軽減されたことと、喘息に合併した難治性の副鼻腔炎が増加していることにより、今後も徐々に増加してくると思われます。
▼ その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)d